こんばんは。デラシネ(@deracine9)です。
三谷幸喜の令和版「ショー・マスト・ゴー・オン」を、福岡のキャナルシティ劇場で観て来ました。
小林隆の負傷降板を受け、三谷幸喜自身の代役出演というレアな特典も付いて、久しぶりに芝居の面白さを堪能することができました。
本日は、この舞台をこれから観られる方も楽しめるように、私の感想や見どころなどをお伝えします。
三谷幸喜氏、ケガの小林隆に代わり自ら出演へ 作・演出の舞台『ショウ・マスト・ゴー・オン』福岡公演 | ORICON NEWS https://t.co/0MP1GnpgLU @oriconより
— デラシネ (@deracine9) 2022年11月8日
コロナで長い間、観劇から遠ざかっていたこともあり、お客さんの反応もすごい良かったですね。
福岡での芝居で、最後はスタンディングオベーションの嵐。
この光景は、初めて見ました。
福岡って、まあ地方では大都市ですが、演劇文化はそれほど根づいていない。
博多座に、どんなに爺婆が観光バスで押し寄せても、ダメですね。
東京で、いい線行ってる劇団が芝居打てるほど、甘くはない。
やはり、いまだ演劇文化を支えているのは、東京オンリーなんです。
だから、とてもいい光景を見せてもらいました。
絶好調の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」を書き上げ、2年振りに芝居に戻ってきた三谷幸喜さんが選んだのは、東京サンシャインボーイズ時代に書いた「ショー・マスト・ゴー・オン」でした。
日本では政治の劣化が進み、経済も世界から取り残されようとしている昨今、明るい話題が無くって、もはや沈没船に乗っている気分ですよ。
こんな時代に、思いっきり笑える喜劇は最高でしょう。
現在、東京公演・追加席の発表があったばかりなので、今から抽選に応募しても間に合います。(11月14日23時59分まで。)
そこで残席が出たら、当日券もあるかもしれません。
まだ、チャンスありますよ。
令和版の見どころは?
このお芝居は、三谷幸喜自身のリメイク。
私は東京サンシャインボーイズの公演を、DVD で観てましたので、比較ができるわけですが、とりあえず初めて観る方の方が多いことでしょう。
そこで、まずは純粋に初見の方向けに書いてみます。
①何はさておき、笑える喜劇。
ある劇場の舞台袖。
そろそろ「マクベス」の幕が開こうとしています。
舞台監督は、幕が開いたら決して降ろしてはならない、とプロ意識の固まりでやっています。
裏方さん達は、舞台監督の指示によって動くのです。
ところが、上演中に降りかかるハプニングやトラブルの数々。
それを乗り越え、いかに終幕まで、もたせるのか?
こういう感じのストーリーです。
三谷作品をお好きな方なら、この手の作品はお馴染みでしょう。
時間とか、人物とかいろんなものに、カセ(一定の条件やハンデ、しばりとなるもの)をかけて、最終的な目的を達成できるかを、笑いの要素で包み込む。
とにかく、途中に起こるハプニングやその解決策、その結末(オチ)が笑える。
映画第1作「ラヂオの時間」を観た方は、その展開がよくわかると思います。
三谷芝居初期の代表作「笑いの大学」も、同じですね。
②豪華キャスト。「鎌倉殿」からも大勢。
これも王道でしょう。
いい台本と上手い役者、優れた演出家。
この3つが揃えば、芝居は成功します。
舞台監督役に、鈴木京香。
主演男優役に、尾上松也。
他にも三谷芝居には欠かせない役者がたくさん出てます。
「鎌倉殿の13人」の出演者が半数近くを占めます。
鈴木京香は、「鎌倉殿」の丹後局役から、ドタバタ喜劇の役者になって、笑わせてくれます。
尾上松也も、後鳥羽上皇役から、エキセントリックな役づくりで笑えます。
そして、私が一番気に入ったのは、老医師役の浅野和之。
上手いですね。
みなさんもきっと、大ウケする事、間違いなしだと思いますよ。
③進化した台本と演出。
ここからは、東京サンシャインボーイズの公演(ここからは初演と呼びます)との違い、変化したところをお話しします。
まず、舞台監督を男性から女性に変えました。
初演では、西村雅彦。
すると、登場する恋人(初演では夫婦)も、女性から男性に変わります。
そこで男女間のやり取りも、変わって来ます。
西村雅彦も面白いですが、鈴木京香がやるから面白いところも随所にあります。
女性の思い切りの良さという特徴を活かして、小道具も使い、笑いもスケールアップしています。
次に、主演の男優が、佐藤B作から尾上松也に変わりました。
老いた名優から、アクの強い個性派俳優になった感じです。
先ほど、エキセントリックと言ったのは、そこです。
佐藤B作は、文字どおり老いた名優を演じてますが、尾上松也の個性派俳優は、かなり凝った脚本と演出にアップデートしてます。
そして、三谷幸喜本人も言っているとおり、登場人物は多くなっているのに、上演時間は短くなってます。
というより、テンポが断然良くなっている感じがします。
初演では、間伸びする場面=しんみりする場面が長めに入っていた印象。
リメイクは、喜劇に特化したと言えるかもしれません。
そこが、初演と本公演の大きな違いだと感じています。
ちなみに小道具は、今回の方がずいぶん豪華ですね。
三谷幸喜の凝り性なところが、それにも出ていて、新たな小道具も面白い。
特に鈴木京香がいざという時に使うやつは、笑えます。
さて、ここまで三谷幸喜「ショー・マスト・ゴー・オン」の見どころを私なりにご紹介しました。
最近、こんなニュースも流れています。
「笑いの大学」舞台版、25年ぶりの再演。
内野聖陽と瀬戸康史のキャストで。
三谷幸喜ファンは「鎌倉殿の13人」のクライマックスでもあるし、楽しみですね。
それでは、本日は終わりです。
おやすみなさい。