こんばんは。デラシネ(@deracine9)です。
本日は、青春哀歌、と題してお送りします。
明日が見えない、生きることに疲れた、 そんな若者たちに送る特集です。
思春期というのは、どんなに社会が健全で豊かでも、疾風怒濤の時期なのに、今の時代は、どうだろう?
社会が歪み、病んでいると、子供たちやお年寄りなどの社会的弱者へと、そのツケが回ってくる。
あなたが大人であれば、今の若者たちが、何を考え、何を信じ、何を欲しているのか、自分が若かった頃に想いをはせて、考えてみませんか?
それでは1曲目。
17才の詩 NSP
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ブログを始めてから、私はツイッターをよく使うようになりました。
ブログを紹介するのが、キッカケでした。
そこで次第にわかってきたのは、ツイッターの世界でのみ使われている、独特の用語、そして、「病み垢」というアカウントの存在でした。
それを見て、私はツイッターで、次のようにツイートした。
今、普通に生活している人たちへ。#病み垢 と検索してみて下さい。そこは、若い子たちの嘆きの壁です。
— デラシネ (@deracine9) 2017年10月27日
自傷、不登校、死にたい、腐れ、黒、血、メンヘラ、クズ、リスカ、人間不信、大人や社会への不信、怒り、自己嫌悪、そういう無間地獄だ。特別な子ではない。あなたの隣にいる普通の子です。
このつぶやきが、先月10月27日の事。
私は、こんな気持ちをツイートしている若者たちに、危機意識を持ちました。
なんとか、この子たちの気持ちに寄り添ってあげたい、自分もかつて経験した、つらい感情を、少しでも分け合いたいと思った。
そして、若者たちの弱みにつけこんで、自分の欲望を満たそうとしている大人たちが多数、存在していると知り、次のような、ツイートをした。
こんな甘い言葉に誘われて、女の子の体だけが目的の男の罠に、はめられないで。
— デラシネ (@deracine9) 2017年10月28日
彼らは、君の心が欲しいんじゃない。
言葉だけなら、いくらでも飾れる。態度だけなら、いくらでもとりつくろえるんだよ。#病み垢 #病み垢さんと繋がりたい https://t.co/ZsMV2oYMM7
このつぶやきは、先月10月28日の事。
そして、その3日後、あの事件が発覚した。
2曲目。
21才 佐々木好
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この事件と容疑者の男について、今日はあえて触れない。
まだ、続々とマスコミの報道が行われており、事実関係もまだまだ不明なところが多く、なによりも動機がわからない点が、犯罪心理学の専門家さえ、頭を悩ませている。
私が関心を持つのは、なにより、この事件による若者たちへの影響だ。
この事件の被害者らが、ツイッターの利用者であり、それを悪用した容疑者の手口から、ツイッターなどの SNS の利用に、何らかの規制が加えられることが、今、政府レベルで論議されている実情がある。
まだ、何もわかっていない事ばかりなのに、「犯罪史に残る極めて残忍で凶悪な事件」と断定し、さっそく SNS 規制の強化を打ち出す、官房長官の発言も、私には、首を傾げる事ばかりだ。
何でもかんでも利用して、表現の自由や、知る権利を規制しようとする、今の政府のやり方には、まったく腹が立つ。極めて、ファッショである。
今、若者から SNS を取り上げても、何の解決にもならないのは、明明白白ではないか?
闇ツイートの吹きだまりは、必ずまた、どこかで悪の華を咲かせるだろう。
人間は、公明正大で偉大さを欲する存在であるが、また同時に、卑小で奸智ねい悪な生き物でもある。
それが人の子の宿命たる姿だよ。
寝た子を起こす子守唄 豊島たづみ
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今から7、8年前、ツイッターが流行りはじめた頃は、病み垢も裏垢も、存在しなかった。
私は、その頃、ツイッターをよくやっていたから、知っている。
だが、気づいてみると、若者たちは、自分たちの闇の世界を作り上げていた。
アカウント。
その略称が、「垢」である。
自分の吐く言葉を、汚れたもの、腐れたものとして表現する。
そこに垣間見えるのは、自分の存在を肯定できない、自信や安心感を持てない、若者たちの、ケガレた自分、という潜在意識だ。
そういう若者たちを作って来たのが、今の世の中だ。
若者たちの叫びが、聞こえてくる。
9人の殺害事件おきて病み垢凍結だってみんないってるけど…居場所がなくなるじゃん。死にたくても死ねなくて。ずっと何かに囚われてて。ずっと苦しくて。でも、やっと見つけた居場所だよ?もっと追い詰めてどうするの。現状悪化するだけだよ?やめてよ。#病み垢凍結反対
ん?病み垢凍結しちゃうの??だったらさ、余計に自殺者増えると思うよ何で病み垢を作るか考えた事ある?本音言えて居場所といえる場所なのに、それを奪うの?苦しいんだよ。その気持ちを隠さずツイート出来たり、自分を理解してくれて 話してくれる人達がいるこの居場所を奪うの?
ツイッターより。
狂った果実 アリス
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死にたい、殺したい、という言葉は、私たちの生活で、日常的に使われている。
あいつぶっ殺してやる、もう死にたいよ、そういう言葉を、テレビや映画、小説、漫画の中で見聞きしない日の方が、もう珍しいくらいだ。
それなら、若者たちの SNS という、一部のマイノリティーの集うコミュニティで、ふんだんに使用されない方が、どうかしている。
若者というのは、自分が生きているという事に、絶対的な肯定感やアイデンティティをいまだ確立し得ていない、雛鳥たちだ。
生と死を背中合わせに生きている、最も危うい存在なのだ。
若い頃、私は太宰治の小説に魅かれ、ボードレールの詩に酔った。
我は、傷口にして、刃(ヤイバ)。
今、私が若かったとしたら、必ず病み垢を作ったであろう。
もう、死んでしまいたいと、そんな言葉を書き散らした大学ノートが、今も手元に、30冊ほども残っている。
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かつて筑紫哲也が、野球というスポーツを、自分のニュース番組で論じたことがある。
野球に使われる言葉は、殺す、刺す、盗む、奪う、そういう、物騒な言葉のオンパレードだ。
それは、極めて人間くさい、生きるか死ぬかのゲームなのであって、そのど真剣なルールによって、観るものは、興奮し、感激し、魅了される。
SNS の裏垢社会も、野球と同じ、若者たちの、危険なゲームである要素が濃い。
日の当たる楽園から追放された、悲しく弱き者たちは、真剣な言葉のゲームに、抑えつけられた日頃の感情を爆発させ、本音をさらけ出し、過激に過剰な表現で、怒り、悲しみ、叫び、初めて人間らしい解放感を味わいながら、生きている。
それは、これから自分という存在意義(raison d'être)を、この世界に見出していこうとする若者たちの、極めて健全な、心のありさまだ。
だからこそ、それを奪ってはならない。
大人は、その弱みにつけ込んではならない。
そうは思いませんか?
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大人というものは、ずる賢く、信用ならないものだ。
子供には、良い子であることを強要し、つまらない事ばかり押しつけるくせに、自分たちは、 ちゃんと陰で悪いことをやっている。
遅くまで酒を飲んでウサを晴らしたり、カネで女を買ったり、陰でこそこそと、裏の顔を見せないで、うまくやってやがる。
こういう大人たちが、子どもたちに信用されないのは、いにしえからの世の常であるが、今の世の中を見れば、子供たちがそう思っても、仕方ないだろう。
がんばれ、死ぬな、なんて言えた柄か。
蒼い旅 岸田智史
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これは、よく聴いた。つらいときに。
何百回と繰り返し、聴いた。
今回は、病み垢を作っている君たちに、書いた特集のはずだったのだけれど、 その矢先に、とんでもない事件が起きて、記事の内容が、当初の予定と大分変わってしまいました。いつか、機会があれば、また書きたいと思います。
だから今回は、歌だけでも、じっくり聴いてみてください。
同じように、君たちに向けて書いた記事です。