写真は、サンハウス 縁(ゆかり)のジューク・レコード店内。(福岡市中央区)
こんばんは。デラシネ(@deracine9)です。
本日は、福岡のロックバンド特集と題してお送りします。
今年の冬は、寒さがハンパなくて、豪雪の北国では大変な想いで暮らしておられる方が大勢いらっしゃる事と思います。
災害などに遭われた方々には、心よりお見舞い申し上げます。
冬来りなば 春遠からじ。
ここは、何とかこらえて、春を待ちましょう。.
それでは1曲目。
レイン 甲斐よしひろ
- アーティスト: 甲斐よしひろ
- 出版社/メーカー: Universal Music LLC
- 発売日: 2016/08/03
- メディア: MP3 ダウンロード
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この「夜のヒットスタジオ」の甲斐は、いいね。
ギターに田中一郎とストリートスライダーズの土屋公平がいて、このセットに、この曲。
この時代のロックミュージシャンとして、頂点にいた事を十分に見せつけてくれた。
甲斐バンド解散後の第2弾シングルだが、ソロの甲斐の曲では指折りの、ブルージーなロックテイストが味わえる名曲。
スナックでこの曲をオケで唄ったりすると、バーテンの男がシブい、と親指を上げてくれたものだ。
バンドではないが、このメンツであれば、バンドと呼んでもいいのでは?
甲斐バンド
甲斐よしひろ、松藤英男、田中一郎は、福岡市出身。
生粋の博多っ子。
大森信和は熊本県人吉市出身、長岡和弘は長崎県大村市出身で、共に福岡大学に進学のため、福岡へ。
昨年末、甲斐バンドの特集をやりましたが、大変 好評でした。
ファンの方もファンでない方も、ご一読頂ければ幸い。
次の曲は、チューリップ。
チューリップのどこがロックだと言われそうだが、財津和夫はビートルズを信奉している人だから、私的には少しもおかしくない。
チューリップは、全曲ビートルズのカバーアルバムも出しているのだ❗️
では、いざ。チューリップ。
二人だけの夜 チューリップ
二人だけの夜(鈴蘭&田園ライヴ!! LIVE!! ACT TULIP VOL.3)
- アーティスト: TULIP
- 出版社/メーカー: ユニバーサルミュージック
- 発売日: 2017/10/11
- メディア: MP3 ダウンロード
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これは、もともと財津和夫 初のソロアルバムから、シングルカットされた曲。
上のライヴ盤にチューリップとして収録され、これにしびれた。
アップテンポで、ヴォーカルの財津和夫と姫野達也のコール・アンド・レスポンスが心地よい。
小粒ではあるが、チューリップのファン以外の方々は、まずご存知ない、知る人ぞ知る名曲。
チューリップ
チューリップは、財津和夫、姫野達也、安部俊幸、上田雅利、吉田彰というオリジナルメンバー全員が福岡市出身。
「博多っ子純情」を作ったバンドだからね。
財津和夫は、昨年、病のため活動休止していたが、この4月から姫野とコンサートを行うそうで、無事戻って来てくれた。
これがチューリップによるビートルズのカバーアルバム。なかなかコアな選曲。
財津和夫はビートルズへのオマージュとして、是非とも作りたかったアルバムなのだろう。
次の曲。
ONE NIGHT GIGOLO チェッカーズ
この頃(1988 年)のチェッカーズ、シングル「NANA 」から一本立ちし、バンドメンバーによるソングライティング、セルフプロデュースと、アイドルグループという枠から見事に脱却して、輝いてたね。
そのルックスに加えて、これだけのイカした曲を、最先端のファッションとダンスでギグる彼らに、同世代として、ジェラシーを禁じえなかったものだ。
チェッカーズ
デビューは 1983年、これからバンドブームがやってくるという時期。
当時のロックシーンは、矢沢永吉の著書「成りあがり」がベストセラーになり、甲斐バンド、サザンオールスターズ、RCサクセション、レベッカなどが台頭。
その一方、歌謡界では松田聖子や中森明菜、小泉今日子などのアイドルがチャートを賑わしていた。
彼らの出身地である福岡の小都会・久留米では、すでに小さなバンドブームが若者たちの間で起きていた。
もちろん、デビュー1年目で大ブレイクを果たした、チェックの衣装を着て演奏する7人組の影響だった。
久留米市・石橋文化センター
(写真提供:公益財団法人 久留米観光コンベンション国際交流協会)
久留米市は、福岡県のほぼ中心部にあり、久留米絣やブリヂストンの創業地として知られる。
(ブリヂストンは、創業者の石橋正二郎が、自分の姓を英語読みして会社の名前にした。すなわち、bridge stone だ。)
地方都市にしては、あか抜けて小洒落ていて、画家の青木繁、坂本繁二郎の出身地でもあり、芸術・文化の香りが漂う街。
そのためか、福岡市に負けず、多くの芸能人を輩出している。
ミュージシャン・歌手では、石橋凌、鮎川誠、松田聖子、家入レオ、役者では、田中麗奈、吉田羊などなど。
その中でも、地元では同世代の松田聖子とチェッカーズの存在感が圧倒的だった。
だから、ギター少年はバンドをやりたいと思ったし、歌手を夢見る女の子は松田聖子に憧れた。
結果的に、バンドでメシを食えるようになった少年は出なかったが、松田聖子に憧れた女の子は、舞台やスクリーンで脚光を浴びる存在となった。
次の曲。
GIRL FRIEND ルースターズ
- アーティスト: THE ROOSTERS
- 出版社/メーカー: 日本コロムビア
- 発売日: 2003/09/10
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ルースターズ
ルースターズは、大江慎也、花田裕之、井上富雄、池畑潤二のメンバー全員が福岡県北九州市出身。
大江慎也は、ルースターズで 1980 年デビュー。
めんたいロックのカリスマの一人。
「GIRL FRIEND 」は、ルースターズの4th シングル。
詞がたまらなく、いい。
すっかりおいら首ったけ あの娘なしじゃ血も凍る
もしもあの娘が去ったなら おいら一日泣き暮らす
私は、この曲の持つシンプルで、みずみずしい感覚が好きだ。
こういう想いというのは、初めて彼氏彼女が出来たときなんかに、誰しも身に覚えのある感情で、普遍的なものだろう。
しかし、言葉として、なかなかスッと出てくるものじゃない。
この曲を聴けば、ハードなロックサウンドとは違った、大江の繊細でピュアな感性を窺い知る事ができる。
しかし、その繊細さゆえに、大江が己れの精神を崩壊させてゆく必然のようなものを、この曲は感じさせる。
むしろ、年齢を重ねた今の方が、肩の力が抜けて、より精力的に活動しているようにみえるのだ。
それもまた、さもあらんと思わせる。
words for a book / 大江慎也 Amazon
ここで、余談。
大江が精神を病み、サナトリウムで療養していた頃、NHKが、大江の現在(いま)を取材したドキュメンタリーを放送した。
それが全国放送であったか、福岡ローカルであったか、何も記憶に残っていない。
だが、大江の生の姿を、確実にカメラは捉えていた。
出口の見えない、精神崩壊の危機に瀕した大江の魂の光芒は、私の心に深く刺さった。
そのときの私は、大江の境遇に、自分を重ね合わせていた。
どこかに、そのフィルムは残っているだろうか?
見てみたい。
できることなら、今一度、その映像を見てみたい。
次の曲。
夜のハイウェイ THE MODS
- アーティスト: THE MODS
- 出版社/メーカー: Sony Music Direct(Japan)Inc.
- 発売日: 2014/04/01
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THE MODS
リーダーの森山達也は、福岡市出身。
彼が命名した「モッズ」というバンド名からも察しがつくように、博多のロッカー達が影響を受けたジェネレーションやライフスタイルは、1950〜1960年代のイギリスやアメリカの若者文化の周辺にあった。
陣内孝則の「ロッカーズ」というバンド名も、同じくイギリスのモッズに対抗するファッションやライフスタイルを志向する仲間としての記号である。
- 出版社/メーカー: ジェネオン・ユニバーサル
- 発売日: 2012/12/05
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60年代のモッズの生き様を描いた作品。
「BEATNIK 」の作家達。
甲斐バンドのオフィシャル機関紙は「BEATNIK」だった。
本来、それはアメリカの若者文化、カウンターカルチャー(対抗文化)を代表するアウトサイダーの作家や詩人達の総称だ。
ジャック・ケルアック、アレン・ギンズバーグ、ウィリアム・バロウズなどが、その代表格。
その思想や行動は、ヒッピー文化を始めとして、多くのアーティストや作家に影響を与えている。
ミュージシャンではドアーズのジム・モリソン、ボブ・ディラン、ジョン・レノン、マイルス・デイビス、カート・コバーン、デビッド・ボウイ、パティ・スミス、ミック・ジャガー、ジミーペイジ、ボノなど。
作家ではカート・ヴォネガット、村上春樹など。
The Philosophy of the Beat Generation.
YouTubeでは、英語を日本語に自動翻訳してくれる機能があります。
つたない翻訳ですが、無いよりましかと。
以下のサイトで、簡単な設定方法が見られます。ご参考まで。
Beat Generation - Kerouac & Ginsberg - New York 1959
青春文学の金字塔「路上( 原題「ON THE ROAD」 )」
ジャック・ケルアックの小説、「路上」は、ビートニクの聖典とも言われ、現代においても青春文学の金字塔である。
サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」は、よく知られているが、「路上」もまた、是非一読をおすすめしたい。
ケルアックは他にも「地下街の人びと」「孤独な旅人」などの作品を残した。
The Beat Generation "Kerouac Ginsberg Burroughs"
以前、記事で書いた辻仁成も、ビートジェネレーションに大きな刺激を受けた一人だ。
青春期、ケルアックの「路上」をいつ何処にでも持ち歩き耽読したと、初期のエッセイで書いている。
また、エコーズの「JACK」という曲のラストでは、「On The Road 明日、この路の上で」という詞がリフレインされる。
それでは、エコーズ、「JACK 」。
JACK ECHOES
私もまた、「路上」を読み耽った一人だ。
主人公・サル・パラダイスになりきって、空想の世界でアメリカ放浪の旅をし、アメリカ大陸を、一人で横断したような錯覚を覚えたものだ。
アメリカ大陸は、とてつもなく広く大きく感じられた。
読書は、その場にいながら、人を無限の宇宙に連れて行ってくれる、魔法の玉手箱だ。
今にして思えば、甲斐バンドと辻仁成のエコーズは、知らず知らずのうちに、軌を一にする価値観を有していたわけだ。
短い時間ではあったが、辻は甲斐よしひろのサウンドストリートに、一度だけゲスト出演している。
甲斐は、エコーズのアルバムを愛聴していると話し、その後も番組でエコーズの曲を度々流した。
辻は、甲斐バンドの80年代ラストアルバムに収録の「O'l Night Long Cruising」の作詞を手がけている。
エコーズ解散後、KAI FIVE に元エコーズのドラムス・今川勉が参加したのは、決して偶然ではなかった。
辻仁成のルーツ。
辻仁成は、転勤族の両親と共に、少年期を東京、福岡、函館と転々として過ごした。
彼のルーツをたどれば、祖父は福岡県大川市の鉄砲鍛冶で、有明海に面した土地で一生を終えた人だそうだ。
これは、辻のライブに初めて行ったとき、本人が話していた。
有明海産海苔の養殖を始めたのも祖父で、そのおかけで君たちは海苔が食べられる、と自慢していた。
そののち辻は、この祖父の事を描いた「白仏」という小説で、フランスの権威ある文学賞であるフェミナ賞 外国小説賞を日本人で初めて受賞。
フランス在住の大きな契機となった。
それでは、最後の曲。
You May Dream シーナ&ロケッツ
- アーティスト: シーナ&ザ・ロケッツ
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シーナ& ザ・ロケッツ
先に触れたように、鮎川誠は久留米市出身。
今も変わらない、ガチの筑後弁と黒のサングラスがトレードマーク。
先に逝ってしまったシーナは、福岡県北九州市出身。
二人が上京し、バンドを組んで、この曲で売れていた頃、私は福岡を離れていたので、サンハウスや鮎川誠、柴山俊之らの活動にはさほど詳しくはない。
しかし、地元に帰ると周囲の空気に、二人を取り巻く熱いオーラを感じたものだった。
そこで、耳寄りな話がある。
近々、NHK 福岡 の地域発ドラマで、二人の半生が描かれるとの事。
さらにサプライズなのは、シーナ役を、鮎川と同郷の石橋凌の娘である、石橋静河が演じるとのこと。
九州・沖縄での放送は、3月2日(金)7時30分からの予定だとか。
好評なら、いずれは全国放送もされるだろう。
そのためにも、九州・沖縄の人は、要チェックだ。