ノワール・ミッドナイト(AL+DVD)(初回生産限定盤)甲斐バンド Amazon
こんばんは。デラシネ(@deracine9)です。
久しぶりに、甲斐バンドのオリジナルアルバムが出ました。
今夜は、「ノワール・ミッドナイト」全曲を紹介します。
- ノワール・ミッドナイト
- HEY MOON !
- 「生きることを素晴らしいと思いたい。コンサートツアーの12万人」
- チャーリー!ブルースを唄って
- Blood in the Street
- 夜の向こうのブルース
- フォーチューン・クッキー
- ブルー・ピリオド
- RINGS
- ランナウェイ・ブルース
- 黄昏に消えた
ノワール・ミッドナイト
初めて甲斐バンドを福岡市民会館で観たのが、高校生のとき。
それから、45年、聴き続けてきた。
人の世の旅の途中は、いろんな雑事に紛れ、遠ざかったりもしたけど。
アルバムタイトル曲。
夜のとばりに聴こえてくる、メロウで甘美な大人の音楽。
相当作りこんでいる感じ。
アルバム全体に言えることだが。
HEY MOON !
田中一郎の曲。
ノリはいい、テンポもいい。
すごく懐かしのメロディって気がする。
だけど、もっといい曲書けるだろ、一郎。
おまえの才能からすれば、ナァ。
もう数十年前、大阪城ホールだったかな。
一郎が必死にギター鳴らしてるのに、みんな甲斐よしひろばかり見てて(笑)。
その頃は、大阪でも甲斐バンドといえば、凄まじい人気でね。
鶴瓶も、花園ラグビー場に来てたんだね。


「生きることを素晴らしいと思いたい・コンサートツアーの12万人」福音館書店・刊。水岡隆子/ 福音館書店編集部・編。池田尊彦・写真。 Amazon
「生きることを素晴らしいと思いたい。コンサートツアーの12万人」
むかし、こんな本が出た。
「甲斐バンド」という字は、帯のみ。
本の表紙には、まったく書いてない。
中身は、1986年、甲斐バンド解散コンサートのツアードキュメント。
タイトルは、ご存じのとおり「破れたハートを売り物に」の歌詞の一節。
出版したのは福音館書店。
児童書を専門とする出版社だ。
つまり若者達の青春模様を描くのが、出版の主たる目的だった。
コンサートに集まった若者達へのインタビューや、写真などで構成されている。
一種の社会現象だよね。
のちに尾崎豊が、こんな感じになっていくんだけど。


「生きることを素晴らしいと思いたい・コンサートツアーの12万人」福音館書店・刊。水岡隆子/ 福音館書店編集部・編。池田尊彦・写真 Amazon
チャーリー!ブルースを唄って
オリジナルフルアルバムが、16年振り。
ジムに通い続けている甲斐よしひろ、ここんとこ、そういうイメージだった。
でも、作り続けていたんだよ、こんな曲達を。
ちなみに、この曲は照和の盟友、あかんべぇの秋吉圭介の曲だよね。
秋吉さんの、いつ頃の曲なんだろう。
照和のマネージャー、YAMAHAの名物ディレクターと、裏方で長渕剛やチャゲ&飛鳥のサポートをしながら、自分でも作り続けていたんだね、やっぱり。
そういうところ、見習わないとな。
Blood in the Street
おいらは、甲斐が若かった頃の、ツヤのある声が好きだった。
今はそれなりに、枯れてるよね。
でも、その声に合う曲をちゃんと作ってる。
こんなイカしたロックを、還暦過ぎたオヤジが作るかよ。
十代の頃は、今も甲斐バンドを聴いている自分を想像していなかった。
だが、年老いた甲斐が、聴衆のまばらな場所で、女房や子供相手に歌ってる姿は、なんとなくイメージしていた。
1979年12月。
NHKホールのコンサート前のインタビューで、甲斐は言ってた。
「50を過ぎて、聴き手が女房やガキだけになっても、たぶん演ってるよね。」(*1)
だが今の甲斐バンドは、そんな若い頃の空想をはるかに超えている。
メジャーレーベルからアルバムを出してるし、ホールツアーをやってる。
(*1)このときのコンサートは、NHKがテレビで放送した。インタビューは、今、YouTubeで見ることができる。
➡️ 甲斐よしひろインタビュー ‘79 NHKホール - YouTube


夜の向こうのブルース
「負けまいとあなたは 乳飲み子を抱いて丘に登る」
このフレーズが、映画のワンシーンのように、記憶の片隅に残る。
甲斐バンド、デビューから50年か。
当時の聴き手もほとんどが、ふつうに還暦越えだよ。
その子供達が、またファンになるってパターン。
日本では、吉田拓郎、アルフィー、ユーミン、中島みゆき…。
海外では、ストーンズやスプリングスティーンみたいに。
だが、時代は変わったね。
ここ数年は、往年のファンから見れば、過去の栄光にしがみついて、みっともないと思うことも多かった。
それでも歌うのをやめないってのが、すごいところ。
ブレないのが、甲斐よしひろという男さ。
フォーチューン・クッキー
物語があるね、どの曲にも。
タイトルはAKB みたいだけど、いい曲だよ。
これは酒場で作った歌だな。
全部がそうなのかな、甲斐よしひろの場合。
甲斐が「安奈」の歌詞を、バーのコースターに書いた話をするのを、テレビで何回見たことか。
やっと、コメンテーターは卒業したね。
バラエティ番組で甲斐を見るのは、正直イヤだった。
これが、あの甲斐か、とガッカリした。
1979年、「HERO 」が売れた時。
ザ・ベストテン出演拒否して、それでも追いかけてくるTBS。
出演には、甲斐バンド側が条件を付けた。
サウンドストリートの公開LIVEを、生中継すること。
黒柳徹子と久米宏との掛け合いはしないこと。
出演は、一度限りとすること。
そして生中継での水割り事件。
そういう叛骨みなぎる甲斐が、好きだった。
ようやく畳の上で死ねる、とか鶴瓶に話してるのもイヤだった。
ロックしてねーなって、正直思った。
これも、おいらにとっての甲斐が、いかにヒーローだったかってこと。
その裏返しの想いさ。
ブルー・ピリオド
松藤英男の曲。
透明感ある声は健在だ。
音もまた、少女の澄んだ瞳のよう。
甲斐バンドなんだから、松藤は必須。
昔から芸達者だよね。
甲斐のサウンドストリート、カラオケ大会の「月の法善寺横丁」は、笑えた。
「ビューティフル・エネルギー」は、どこかの高校の体操音楽で使われてたらしい。
実際に、それで体操やってた友達から聞いた。
RINGS
2004年に早逝した大森信和の曲。
その大森信和が、このアルバムで甦った。
まるでビートルズの新曲、みたいな話。
そんな音源があったの、みたいな。
シブいな、相変わらず。
おいら、こういうロマン派の音?が好きだ。
「くだけたネオンサイン」も大好きだし。
アルバムの最後の曲で、インストゥルメンタル。
映画のエンドロールのよう、って甲斐も言ってた。
大森信和、もっと生きて、甲斐バンドを助けて欲しかった。
これも、おいらの勝手な願い。
ランナウェイ・ブルース
まだまだおいらも、燃えなきゃな。
好きにやるさ、心と身体が滅びるまでは。
ロックは、転がる石のように、疾走することだろうよ。
だが、ちょっとヤバくなったら、逃げちまえ。
誰が何と言おうと、構うもんか。
おいらの人生、どう使おうと、おまえらの知ったことじゃねえ。
いつかはまた、陽の目を見ることもあるだろうよ。
今ヤバいなら、逃げちまえ。
これも、甲斐から学んだよ。
最後の曲。
黄昏に消えた
甲斐らしい別れのラブソング。
取り残されたのは、男の方だった。
これと「Blood in the Street 」「ランナウェイ・ブルース」は10年前のリメイクで、他の数曲も、メンバーのオリジナルをブラッシュアップした曲とか。
だが、それがなんだってんだ。
このアルバムは、大森信和も含む4人の甲斐バンドの、オリジナルアルバムなんだ。
どれも、いい感じに仕上がってるじゃないか。
なんだかんだ言って、このアルバム、結構気に入った。
音楽批評には、全然なってないな。
いい加減なレビュー、と言われても仕方ない。
老いぼれの、たわごとだよ。
だが、4人の甲斐バンドが聴こえてきたから、想いを正直に綴った。
それでは本日はこれで終わりです。
おやすみなさい🌕。


「生きることを素晴らしいと思いたい・コンサートツアーの12万人」福音館書店・刊。水岡隆子/ 福音館書店編集部・編。池田尊彦・写真 Amazon