MIDNIGHT HERO

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これぞ、ホントのアイドルソング❗️ 或いは、反時代的アイドル論。

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こんばんは。デラシネ(@deracine9)です。

本日は、アイドルソングの特集をします。

私は、根っからの MEN ですので、すべて女性のシンガーということで、ご了承願います。

最近のアイドルといえば、まず、ユニットを組んでますね。

誰が誰だか、わからないほど。

 

しかし、私の若かりし10代の頃は、基本はソロ。多くて3人。

数が多けりゃいいってもんじゃない。

そういうわけで、ニーチェじゃありませんけど、デラシネこと私の説く、反時代的アイドル論ということになりましょうか。

 

では、1曲目。

夕暮れ気分      堀ちえみ

夕暮れ気分の歌詞 | 堀ちえみ | ORICON NEWS

夕暮れ気分[堀ちえみ][EP盤]

夕暮れ気分[堀ちえみ][EP盤]

 

 いや、感激ですね。

これぞ、アイドル、という感じです。

これぞ、とは、いずくからきたるものぞや、と問われればですね、この曲の動画のキャプチャーにもなってる、2番の歌詞のところをよーく聴いてください。

電話がチリリとも 鳴らないとつまらない

今頃は寝転んで テレビを見てるかな 

最後の「テレビを見てるかな」の末尾の歌唱。

語尾をフラットに上げて、テレビの前の君に語りかけるように、首を傾げる、愛おしげな、この仕草‼️

 

しかも、歌詞は、アイドルの方が下手に出ている。

あなたに愛してほしいの、と呼び掛けてるわけです。

これが、いたいけな、性の萌芽を迎えつつある青少年に、見事、完膚なきまでの、インプレッションを与えるわけですね。

 

アイドルとは、偶像であります。

決して易々と近づけるものでは、ございません。

握手会やら総選挙やら、俗悪なる政治家、もとい、政治屋の猿真似をしたりする所以はございません。

この、「遠い星の人⭐️感」が無ければ、真のアイドルとは呼べないのです。

ですから、日本津々浦々の48✖️48➕46 ✖️46etc. が束になって掛かっても、「見てるかな?」の至芸には、及ばないのであります。

何か、可笑しいですか?

 

ちなみに、この曲は、フォークソング特集で聴いてもらった、N.S.P の天野滋の作曲です。

それでは、2曲目。

やさしい悪魔      キャンディーズ

やさしい悪魔

やさしい悪魔

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やさしい悪魔

やさしい悪魔

 

これは、喜多条忠・作詞、吉田拓郎・作曲。

キャンディーズを、大人の女にしてやってくれ、計画の第1弾シングル。

それまでのキャンディーズのシングル中、最大のヒットとなりました。

これは、アン・ルイス デザインの衣装も良いですが、何と言っても拓郎の曲の良さですね。

当時、ピンクレディーが台頭して、キャンディーズは押され気味でしたから、彼女たちには嬉しかったでしょう。

 

キャンディーズは、「8時ダヨ、全員集合」のレギュラーもやったことがあって、コントも上手でした。

それゆえか、解散後の田中好子さんの女優としての成長は、目を見張るものがありました。

役所広司主演、市川森一脚本の「親戚たち」のバーのママさん役。

朝ドラで大評判だった、岡田惠和脚本の「ちゅらさん」のお母さん役。

見た人も多いでしょう。

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さて、ここから再び、アイドル論です。

 

プロデューサー・秋元康先生の卓見は、実に優れたものでした。

人間には、あるものを自分だけが好きになって、自己同一化することで、他者との差別化を図りたいという欲求がある。

しかし、スターというのは、その最大公約数であって、大衆に広く支持されるものゆえに、個々のファンには遠い存在となる。

その上、個々のアイドルを育てて人気者に仕立てていくのは、並大抵のことではないし、リスクも大きい。

それらのデメリットを補いつつ、すべてのメリットを取り入れる方法がある。

それが、宝塚歌劇団に代表されるような、集団的スターシステムだ。

 

集団を、一大スター・ブランドにすることで、セールスは安定的に確保される。

なおかつ、集団の中の個々のメンバーを偏愛し、自己同一化を図るファン層も捕まえられる。

さらに、オーディションがあるとはいえ、どこにでもいる少女、という素人っぽさを集団に取り入れることで、ファンにとっては、宝塚とは違う、等身大の、自分だけのスターを発掘することが出来る。

 

はたまた、公開オーディション総選挙といった、「集団 = 社会の縮図としての人間群像劇」 の仕掛けを施すことで、ファンとの距離はさらに近づく。

自分の好きなメンバーが、素人の領域を脱して真のスターに成長したり、紆余曲折いばらの道を歩いて挫折したりする過程を、ファン自身の人生そのものとして擬似体験させ、その結果、グループ及びメンバーとファンの一体感はさらに増していく。

かくして、あるグループの成長が飽和点に達したとみるや、既存のグループとは違ったコンセプトのもとに、新たなスターグループを創出する。

 

新旧グループのファンと新たな次世代のファンに、再び自己同一化を図るべきスターグループ、メンバーはどちらなのか、という選択肢を提示し、再検証を迫る。

さらに、新旧グループ及び卒業生間の混合ユニットの展開や、相互交流、ライバル視などといった、人間くさい、ポリティカルな離合集散は、いつまでも飽きさせないダイナミズムを自然発生的に生み出し、意図的にも仕掛けやすく、拡散しやすいムーブメントが醸成されてゆく。

 

たいしたものですよ。秋元先生。

しかし、どんな仕掛けにも飽きがくるのが、人間というものです。

いつかは、二の句を継がせない、山口百恵や中森明菜、松田聖子といった、遠い星のスーパーアイドルを渇望する日が、再びやってきます。

それが、秋元先生の仕掛けたユニットから登場するか否かは、わからないし、もう登場しつつあるのかもしれない。

そのとき、秋元先生には、過去の自分の仕掛けが存在しようと、衰退していようと、もうどうでもいいことなのです。

仕掛け屋というのは、今このとき、その企みが成功していれば、正解なのだから。

 

3曲目。

夏ひらく青春       山口百恵

夏ひらく青春

夏ひらく青春

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夏ひらく青春[山口百恵][EP盤]

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この曲と「ひと夏の経験」のどっちにしようかと迷いましたが、後者はPUFFYがカバーしたりしてますので、こっちの方を聴いてもらいました。

いうまでもなく、山口百恵という、王道のアイドル路線です。

真の大スターになる前の百恵さんですが、やはり、キラリと光るものがありますね。

 

「ひと夏の経験」の歌詞は、この詞が有名です。

あなたに女の子の一番大切なものをあげるわ

これを聴いて、いろんなイマジネーションをかき立てられますよね。

若ければ、若いほど。

これで、いいんです、アイドルなんだから。

際どい歌詞戦略というのは、流行り歌の常套手段でもあるのです。

当時の芸能界は、まだまだいろんな悪習があったでしょうけど、百恵さんをはじめ、頑張って自分の世界を切り拓いてますよ。

4曲目。

硝子坂      高田みづえ 

硝子坂

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硝子坂 [EPレコード 7inch]

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高田みづえさん、元大関・若嶋津、松ヶ根親方と結婚して、芸能界を引退。

以来、相撲部屋のおかみさんです。

この曲は、宇崎竜童の曲。

初々しいです。

デビューしてから、歌唱力もグングン伸びて、アイドルっぽさは薄いですが、しっかりしてます。

同郷・鹿児島の親方と結ばれて、幸せそうです。

 

この曲はいいですよね。

「夕暮れ気分」同様、やはり、好きな人を追いかけている歌詞です。

知らない方はラッキー。

 

次は、2曲続けていきます。

どちらも、甲斐よしひろの書いた曲です。 

ハートをロック        松田聖子

ハートをRock  歌詞

ハートをRock

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ユートピア

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グッドナイト・ドール      鹿取洋子

ゴールデン☆ベスト 鹿取洋子

ゴールデン☆ベスト 鹿取洋子

 

この2曲は、甲斐よしひろがアイドルに提供した中での Best  favorite  です。

「ハートをロック」は松本隆の詞。

「ユートピア」というアルバム収録曲。

「グッドナイト・ドール」は甲斐の詞です。

どちらも、女の子の方が積極的で、男に愛してほしいっていう詞ですね。

 

松田聖子の歌唱力は、折り紙付きで、素晴らしい。

男に甘える感じは、松田聖子しか出せない、天賦の声ですね。

この頃が、もっともいい声だったんじゃないでしょうか。

 

甲斐が鹿取洋子に曲を書いた経緯は、ラジオ番組で、鹿取洋子の「ゴーイング・バック・トゥ・チャイナ」に惚れこんだ件を盛んにのたまわっていましたから、そこで接点があったのでしょう。
これもいい曲なので、おすすめです。
 
では、最後の曲です。

セカンドラブ       中森明菜 

セカンド・ラブ - 中森明菜 - 歌詞

セカンド・ラブ

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セカンド・ラヴ

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 締めくくりに、もう一言。

現時点において、一番、旬なアイドルグループと言える、欅坂46の歌詞を読んでみたのですが、これがまるで、1970代かと思わせるような、社会と個人の軋轢を歌ったメッセージソングなんですよね。
もちろん、作詞は秋元先生です。
 
この社会の閉塞感にのたうち回る、若者の心に響くメッセージソングを、トップアイドルグループが歌っているという現実。
 
作詞家・秋元康は、そういう詞も書ける才人であることは、長渕剛の「good-by青春」で作詞活動を始めたときから、わかっていました。
あの AKB 路線から、まったく目先を変えて、現代の若者の琴線に触れる、彼らの心の叫びを代弁してくれる詞を、欅坂に歌わせるという離れ技には、ほとほと感心するほかありません。
それにしても、です。
 
それは、言い換えれば、現代のロック、フォーク、ポップス、何でもいいですよ、とにかく今を生きるアーティストが、いかに若者の心をつかんだ曲を作っていないか、という証しでもあるのです。
 
実に情けない。
だから、何でもありの秋元先生の後塵を拝するしかない。
がんばってくださいよ、ロックスターの皆さん。
忌野清志郎が、恋しいナァ。
 

Satisfaction